リハビリのイメージはどのようなものをお持ちでしょうか?
テレビドラマでよく見るような、スポーツや事故などで怪我をして、平行棒の中や松葉杖を使って一生懸命に歩く練習をしている場面ではないでしょうか?
いかにも、できなくなったことを訓練して再獲得していくイメージ・・・。
⇩こんな感じで。
確かに病院では、骨折や脳卒中などの怪我や病気によって低下した運動機能を、さまざまな練習によって再獲得していくことがリハビリの目的となります。
(※リハビリテーションは英語でrehabilitationと表記されており、人生の再獲得とも訳されています)
では、介護保険で行っているリハビリも同じ意味なのかというと質感がすこし違ってきます。
病院(=医療保険)におけるリハビリは疾患の治療し、退院を目的とした機能練習が中心です。
一方、介護保険は病気の改善のために利用することが目的ではなく、自立した生活を行えるように「生活支援」をすることが目的となります。
介護老人保健施設のリハビリで生活機能を再獲得されて在宅復帰されるかたもありますが、機能改善したからといって在宅復帰できない利用者が多いのも実際です。
介護者の状況や家屋環境に影響されることが非常に大きくなります。
介護者の課題として、一緒に住まいになるご家庭に別に介護する高齢者がいたり、生まれたばかりの曾孫さんがいたり、受験生がいる場合があります。環境の課題として、段差が多く車いすでの屋内移動ができなかったり、トイレに行くのが難しかったり、山間部で介護サービス事業所がなかったりすることもあります。
つまり介護保険領域のリハビリでは、身体機能だけに着目していては、高齢者の生活課題を解決できないことが多いのです。
しかし、たとえ家に帰ることができなくとも、機能向上が見込まれないとしても、リハビリ専門職の視点を通して、自分らしい暮らしができるような提案をすることも、施設リハビリ職員の役割になります。(と、少なくとも当リハビリ科は考えています)
↑厚生労働省資料(H29)です。
在宅復帰困難者の老健入所の理由は、本人事情では「リハビリ」ですが、家族事情では介護ができないという理由です。
やはり、同居家族への配慮が極めて重要であると言えるでしょう。
【まとめ】
医療のリハビリは、病気の治療をして家に戻って暮らすことが目的です。
介護のリハビリは、家族や家屋環境、個人の特性をはじめとした「利用目的」を掘り下げて理解し、最適にバランスのとれた生活支援を行うことが目的となります。
(作業療法士 小松顕)
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